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仏像の種類、見分けるポイントとは何?(前編)

初回で仏像について書かせていただいたが、そもそも細部以前に仏像に関して疑問を抱えている方も多いのではないだろうか。
その仏像だが、鎌倉の大仏として知られる阿弥陀如来像、京都・広隆寺の弥勒菩薩像、不動尊やお不動様とも呼ばれる不動明王、七福神でおなじみの毘沙門天や弁財天などは誰しもビジュアルが思い浮かぶと推測される。
こうして列挙してみると、仏といいながらも如来、菩薩、明王、天と様々なものが出てきているが、これらはどう違うのかを今回は見ていきたい。

まず、「如来」だが、これは仏を称えた呼び方のひとつで、「仏」の同義語である。サンスクリット語の“tathāgata(タターガタ)”からきた言葉で、「タター」は真理、「ガタ」は来るという意味を持ち、簡単にいうと、「真理に到達し、この世へ救済のためにやってきた者」ということである。顔立ちも仏様らしく非常に穏やかである。

次の「菩薩」はサンスクリット語の“bodhisattva(ボディーサットバ)”の音写で、“bodhi”は悟り、“sattva”は衆生を意味し、つまりは「悟りを目指す衆生」、まだ仏にはなっていない前段階である。しかし、いずれ仏になることは予言されており、そのための修行を行いつつも広く世の衆生を救うという、ハードな役回りの存在だ。しかし、凡人とは違うもので、これだけ頑張っていても、表情は穏やかである。

明王はこれまでのものに対し、厳しい表情をしている特徴がある。これは仏法を守るためや仏教を信じようとしない衆生を説き伏せるためなどとされる。不動明王をはじめ、明王像の背後には炎があるものもよく見受けられるが、これは煩悩を焼き尽くすという意味がある。
唯一の例外として孔雀明王というものがある。名前の通り孔雀に乗っているのだが、他の明王と違って菩薩の姿で表わされる。この孔雀明王はインドで毒蛇を食べる孔雀が神格化されたもので、人々の災いを除くものとされており、他の明王と少し毛色が違うものといえる。あまり見かけない像だが、高野山の霊宝館に快慶作のものが収蔵されている。

最後に最下部に位置づけられる天部だが、これには「天」とつかない阿修羅なども含まれている。天部には上記の明王のように厳しい表情を見せる武人天部と、中国の貴族のような高貴な装いの貴顕天部の二分があるが、他にも男性と女性、獣人のようなものもあり、非常にバリエーションが豊富である。由来もインド古来の神々などが仏教に取り入れられたものとされる。
この天部は仏法の守護者であると同時に仏教を信じる者を守護する役割も持つ、また、それにともない現世利益を与える面もあるが、七福神の弁財天などを思い浮かべるとしっくりくるだろう。

ここまで見てきたが、明王や天部の像はパッと見て表情や出で立ちで判別ができることが多い。女性や異形というのもポイントのひとつだ。困るのが前者の2つ、ともに穏やかな表情をして、似たような衣をまとっている。続いて如来と菩薩の見分け方について説明したいのだが、長くなりすぎたので続きは後編にて。

 

(後編はこちら)

浄土宗 願生寺 住職/有限会社 セブンワンダーズ所属 クイズクリエーター
遠藤和成

学習院大学文学部史学科卒

大正大学大学院仏教学研究科浄土学専攻修士課程修了

高校・大学は剣道部、前職は中学・高校の社会科教員。クイズ作家としてはクイズ研究会やサークル所属経験のない異色の経歴。クイズ番組は好きだったが、プレイヤーとしての経験はアーケードゲームのみ。

僧侶としても、仏教系大学に大学院のみ在籍という極少数派。

有限会社セブンワンダーズ入社後は僧侶とクイズ作家の兼業で活動。法話にもクイズ作成で得た知識や要素を取り入れ、独自性のあるものを展開しているほか、寺院での「仏教クイズ」も企画している。

好きなジャンルは仏教、世界史、サッカー。

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